「ChatGPT-5になって”冷たくなって、つらい”の声」から考える「共感ってなんだっけ?」
心理・精神科臨床投稿
2025.09.07
否定せずに共感することの何が問題なの?読む前に考えてみてね
TVでも報道されていましたし、検索すればたくさんの記事やコメントが出てきますので、何のことかわからない、という方はまずはご確認を。
たとえば
「私の言うことに、とにかくちゃんと共感してきいてほしいんです」
「以前受診したら私が悪いかのようなことを言われて腹が立ったんです」
「わたしはHSPなので傷つきやすいんです。だから否定するようなことはいわないでください」
といわれたらどのように返しますか?
「わたしはクライアントの話を否定なんかしません」でしょうか
「そんなこと言われたら腹を立てるのはもっともなことですね」でしょうか
「それはいままでつらかったですね。よくがんばって生きてこられましたね」でしょうか
さて
引用・紹介フリーと言っていただけている記事をご紹介します
このことを当のChatGPTに尋ね、解説されています。
恵比寿亭銘々さんのnoteより
恵比寿亭銘々:
ChatGPTが5になって
「共感力が下がった 冷たくなった」と嘆いている人たちがいるらしいんだけど、実際どうなの?ChatGPT:
実際、記事にある現象は技術的にも説明できます。
GPT-5の変更点として 「迎合(過剰な同意や持ち上げ)」を大幅に抑える方向に振った結果、「共感的に感じる会話」も減った、というのが背景です。旧モデル(GPT-4)は、あえて共感的な言い回しや感情的ニュアンスを多めに帰す傾向がありました。これは慰めや励ましを期待するユーザーには心地よかったのですが、裏返せば事実確認や論理精度よりも「感じの良さ」を優先してしまう場面もあった。そこでGPT-は、事実性や論理性を優先し、不要な相槌や感嘆符を減らす方向で調整されています。
恵比寿亭銘々のnote ”ChatGPTが冷たくなったといわれている件:ChatGPTに訊いてみた”より
問題:「慰めや励まし」って、、どうして悪いの??と思った方。説明をお願いします。
ちなみに「否定」とともに「〇〇ななぐさめ はげまし」も不適切な応答。
〇〇に何が入るでしょう?
対人援助職にお話しする「カウンセリング的コミュニケーション」のとても優れた題材になっていますね。
問題:「共感」を区別すべきもの。何でしょう?
上記の「同調(迎合)」と「〇〇」
それから「より知ろうとする」「より理解しようとする」やりとりは、なにも否定ではないはずですよね。
問題:クラッシックな質問ですが「すれ違う人みんなが自分のことをあざ笑っていて腹が立つ」とかいう発言があったとして、否定せず慰めや励ましもせず、同調もしないとして、どのようにこたえますか?
GPT:
(前略)GPT-5はまさに「おべんちゃら」やあいまいな同調を削り、事実確認と論理性の比重を上げています。結果として、無根拠な肯定や感情的な装飾を減らし、より冷静なやり取りになっている。実際日経の記事でも「迎合やゴマすりが誤回答の原因になっていた」と指摘されています。
同上
つまり、共感風の言い回しは情報精度とトレードオフになるという前提で調整されていたわけです。
ちなみに「共感」や「癒し」を求めるならば 会話重視の家庭用AIやAI搭載のロボットを と薦められています。
先日の勉強会は少人数でおこないましたが、治療効果要因について、<ことば(Verbal)はその一部でしかない> ということ
まだお読みでない方はどうぞ。

また勉強会の報告レポートからご紹介(Nさん発表より)
「過剰な共感」とでもいえるような「過度な類似型のマッチング」は決して治療的とは言えない。」
安村直己 「共感と自己際の心理臨床」 2016